整形外科と整骨院との違いは?併用できない?通院の注意点など医師が解説

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体の痛みで整形外科や整骨院にかかりたいと思うことは多いですよね。似たような名前で、治療の差があるのかもわからず判断に迷う方もいますよね。

整形外科と整骨院は同じ時期に通ってはいけないの?いいの?と疑問も多いと思います。
以下は主要な例ですが、是非整形外科や整骨院への受診を考えてみてください。

  • 交通事故に遭って全身に痛い部位ができた。
  • スポーツで足首をひねって痛くて歩けない。
  • 歩けば膝の内側がいたい。
  • 転んで尻もちしてから、背中がすごく痛い。
  • 寝違えて首が痛い。
  • 肩こりがひどい、肩こりで服が着にくい。
  • 歩くと脚が重だるく、しびれる。
  • 転んで関節が腫れている。
  • 骨粗鬆症といわれた。

整形外科と整骨院の違い

整形外科
  • 医師(国家資格保持者)が診察を行う
  • 画像検査や採血検査の施行、説明ができる
  • 薬や注射、リハビリ、手術が治療の主になる
  • 交通事故治療はじめ各種の診断書がかける
  • 保険診療である
  • 開業数(病院除く)12,439院(令和2年)*1
整骨院
  • 柔道整復師(国家資格保持者)が施術を行う
  • 画像検査の施行や、検査結果説明はできない
  • 治療機械、手を使った施術が治療の主になる
  • 一切の診断書はかけない
  • 保険診療ではない(一部申請により保険扱い)
  • 開業数 50,364院(令和2年)*2

*1:https://yueisya.com/medical-info-7604-html/
*2:https://www.idononippon.com/topics/5178/

整形外科と整骨院の違いは、資格、治療対象、治療方法、保険適応の範囲、書類作成の点が異なります。痛みやしびれが始まって、原因を知りたい人や薬を希望する人、手術は整形外科へ。

昔に診断されて定期的に繰り返す痛みには筋緊張を解く整骨院治療は良い選択です。薬や注射で副作用が心配な方も向いていると思います。

整形外科(病院)とは?

整形外科とは以下のイメージです。

  • 資格

    担当は医師です。日本整形外科学会の認定専門医を取得した者が“整形外科専門医”と標榜できます。

  • 治療対象

    治療対象は骨折、捻挫、慢性疾患、リウマチ、痛風、骨粗鬆症などです。
    慢性疾患は膝の軟骨がすり減る病気(変形性関節症)、腰部脊柱管狭窄症が有名です。椎間板ヘルニアや腰、首や肩の急な痛みや交通事故のケガも対応しています。

  • 治療方法

    検査、治療をします。検査はレントゲン、CT、MRI、採血や骨密度検査があります。治療は薬処方、注射、リハビリ、手術などです。

  • 保険の適応範囲

    主に保険診療で、各健康保険に応じ1割~3割の負担額です。自由診療は保険適応外の治療ですべて自費負担です。

  • 作成書類

    様々な書類申請ができます。交通事故、後遺症、身体障害者の診断書や労災書類、介護保険意見書などです。

整骨院(接骨院)とは?

整骨院とは以下のイメージです。

  • 資格

    担当は柔道整復師です。鍼灸師免許を併せ持つ方もいます。

  • 治療対象の違い

    保険適応の範囲は狭く、自費治療をしています。

  • 治療方法の違い

    検査、注射、薬は出せません。マッサージや電気治療が主の施術で、ケガや筋肉の痛みを治療します。

  • 保険適応の違い

    保険医療機関とは異なるが医療類似行為が可能です。保険適応には医師の同意が法律上必要です。保険適応は、骨折、不全骨折、脱臼です。応急手当は医師の同意がなくとも適応です。医師同意が前提なのは、画像検査や専門家治療が後手に回り後遺症が残る事があるからです。
    保険適応範囲外で、マッサージや鍼灸(鍼灸師資格があれば)を自費診療で行う事があります。頭痛や冷え性、脊柱矯正などに行う施術は、自費負担です。しかしこれらは業務外であると日本柔道整復師会も発表されています。

  • 作成書類の違い

    書類は一切作成できません。

【ケガ・症状】整形外科と整骨院はどっちに行くべき?

  • 捻挫、打撲

    軽いものは整骨院、内出血しているものは整形外科へ(靭帯損傷の可能性がある)。

  • ぎっくり腰

    どちらでも良い。10‐14日しても治らなければ整形外科を勧める。(レントゲンをとり、違う病気がないかも見るべき)

  • 肉離れ

    どちらでも良い。数週間しても治らなければ整形外科を勧める。(治療が早いこともある)

  • 脱臼、骨折の可能性がある

    整形外科へ(検査をすべき)。

  • 寝違え

    どちらでも良い。整骨院の方が筋肉をほぐす事はできる(もみ返しがある為タイミング大事)

  • 五十肩

    どちらでも良いが、整形外科で検査をした方がいい(手術になるものが含まれている)

  • ヘルニア

    必ず整形外科へ(検査を絶対にした方がいい)

  • 外反母趾

    どちらでも良いが、胼胝(タコ)で悩むので皮膚科に併診連携できる点で整形外科がいい。

  • 腱鞘炎

    どちらでも良いが、慢性的なら整形外科を勧める(検査の必要性や注射が効くので)

  • スマホ首、ストレートネック

    整形外科が良い。(検査をしたほうがいい)

  • 交通事故によるケガ

    整形外科に当日または翌日位には行った方がいい(検査をしないと後々不利になる。書類もあり困るので)

交通事故によるケガ

交通事故の痛みで辛い時は整形外科へ。その理由は検査(診断)が遅れると、防げた後遺症事例があるからです。一般的に手術を要す骨折は2週間程度で施行すべきです。

診断が遅れると手術も遅れ、難易度が上がります。検査と加療を始めて、追加で整骨院を併用する形がいいと思います。しかし注意点は医療機関によっては整骨院の併用を嫌がり、保険会社も難色を示すことがあります。

別の理由は書類です。整骨院では書類を一切書けません。交通事故には都度書類を提出しないとご自身が困ります。整骨院だけに通っている方だと定期的な診察ができず書類は作成困難になります。 低頻度でいいので、定期的に受診していく事が重要です。

整形外科と整骨院は併用できない?

同じ部位に対して、整形外科と整骨院が健康保険の治療を行うのはアウトという原則です。
ダブル保険適応は医療費が増え、整骨院が自費扱いになります。

混乱は保険か自費に加え交通事故の掛け合わせがあるからです。 両方を併用できるのは以下のケースです。

  1. 共に保険)まず整骨院へ行き検査を勧められ、同部位に対し整形外科受診する場合。
    初期に詳しく検査に進むことは国も容認する考えと捉えてください。その後の保険併用継続は難しいです。
  2. 共に保険)整骨院で保険加療中の部位があり、“別部位の怪我”を整形外科に相談する場合。
    部位が違いは保険併用OKです。
  3. 交通事故)交通事故は特殊で実は自賠責や任意といった損害保険会社の財源での治療です。健康保険ではないので同一部位の治療で併用OKです。
    保険会社は早く治るなら医療、整骨院もフル活用しようという考えと創造してください。ただし医師の了承と、併用期間に限りはあります。
  4. 整骨院が自費である場合。
    整骨院が自費治療なら、整形外科が同じ部位を治療していようと整形外科が保険を使用している事だけになります。

整骨院に通う際に知っておくべき注意点とトラブル例

整骨院の注意点は、1つは整形外科と併用のルールが分かりにくいところです。併用したいのに整骨院で断られてしまい、患者さんも整骨院側も併用ルールが分かりにくい事で嫌な思いをすることがあります。

2点目は、整骨院では整形外科の病態理解ができない事です。整骨院は東洋医学で、体を見る基本も違い、診療の共通言語がありません。病気を知っていると思って西洋医学の検査結果について患者さんが話しても、理解ができません。

私は東洋医学にもヒントが多いので、違う事を理解して両方を活用する姿勢がいいと思います。

幸い私は整骨院の先生と大きなトラブル経験がありません。一番の理想は、整形外科でケガやしびれ、痛みなどの検査を行い、リハビリが院内でできない事例(遠い、夕方クリニックがやっていない、家族の送迎負担や、子供に親が一緒と言われる)には近場の整骨院で代替治療を模索すると治療が後手には回りにくいと考えています。

整形外科受診をやめてしまえば、ケガであれば整骨院で保険が可能、整形外科には通いながら整骨院行く場合には整骨院は自費になるのを了承していければトラブルは少ないと思います。

監修

整形外科専門医 Dr.沼口大輔

整形外科専門医Dr.沼口大輔

大学 2006年 東邦大学医学部卒 2023年4月~ 早稲田大学経営管理研究科(WBS)在学中
資格 日本整形外科学会認定 整形外科専門医 日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医 日本脊椎脊髄病学会認定 脊椎脊髄外科指導医
学術活動

資料参考:https://gyoseki.twmu.ac.jp/twmhp/KgApp?kyoinId=ymbgyoysggo